多彩な作品と活動
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内藤ルネは、日本で最初と言っても良いくらいの
稀代のマルチアーティストでした。
彼の描くものは美少女からフルーツ、野菜、動物と多岐にわたります。
中には美少年や、かなり写実的な作品も。
更に雑誌の表紙、付録、ファンシーグッズ、家具、人形、ファッション…と
その感性は「カワイイ」をテーマに果てしなく広がっていきました。

大胆にデフォルメするルネスタイル

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内藤ルネが描く少女や女性は、大胆にデフォルメしたスタイルで初期から異彩を放っていました。その特徴は、太い輪郭線やビビットな配色、簡略化と誇張を自在にする独自の美意識にありました。また、ワンパターンにとどまることなく、目や口、顔の輪郭、髪などの表現や色遣いはさまざまで、8頭身から2頭身まで、多彩な表現力と柔軟性を持っていたことがわかります。ルネの特徴的なスタイルは、フルーツや野菜、動物、お花などの作品にも反映させています。フルーツや野菜などがかわいいモチーフになることを発見したルネは、いちご柄、トマト、さくらんぼなどを得意な手法で大胆にかわいらしくデフォルメしてデザインしました。パンダを2頭身にデフォルメしたのもルネなのです。このルネスタイルとも言うべき、大胆なデフォルメとビビットな配色が人々に夢と感動を与え、ポジティブな気持ちにさせる魔法なのです。

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幻想的でミステリアスな
ゴシック&ロリータの世界

その一方、全く異なる手法での作品も生み出しています。色鉛筆やパステルを使用して、写実的な女性の作品や憂いを秘めた抒情的な少女像を描き、ゴシックでロリータな女性の作品も数多く残されています。ルネが描き始めたナイーブで幻想的な世界観の作品は、ゴシック&ロリータと言う新たなジャンルとして、元気で明るい少女の作品とは全く異なる魅力で今でも熱狂的なファンに愛され続けています。内藤ルネは自身の独特な感性で感じた女性の美しさや可愛さをさまざま手法で表現した多彩な才能のアーティストだったと言えます。

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情報発信者としてのルネ

内藤ルネは、日本ではじめて「カワイイ」を具現化したイラストレーターとしてだけでなく、あらゆる「カワイイ」を発信する活動も精力的に行っていました。表紙や挿絵、付録などを担当していた『ジュニアそれいゆ』では、映画スターやおしゃれ、インテリアについて語るページを担当し、その中から「麦わらカンカン帽」や「大きなボタン」などを流行らせ、雑誌『服装』『私の部屋』等の若い女性向け雑誌ではエッセイと写真で構成されたコーナーでは、人形、インテリア、映画女優、アンティーク等について語り、さまざまな情報を紹介しています。ファッションにおいても、さまざまなファションスタイルの女性のイラストを描いたり、コラムにおいて、ココ・シャネルやイヴ・サンローラン、バレンシアガなどのデザイナーや、新しいファッション、メイクアップを紹介しました。ルネが発信したファッションの流行は、コシノジュンコさん、金子功さん、高田賢三さんなど後に世界で活躍するファッションデザイナーにも大きな影響を与えています。さらには、白い家具の提案や人形作家としても有名です。1954年に妖精のような少年のような細身のスタイルで、映画『麗しのサブリナ』のオードリー・ヘップバーンの人形を制作したのをきっかけに可愛らしいフォルムの動物など手作り人形も残しています。

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日本で最初のマルチ・クリエイター

内藤ルネは、多彩なスタイルでさまざまな作品を生み出してきただけでなく、ルネの活動は果てしなくあらゆる分野に広がっていきました。大胆にデフォルメされた少女のイラスト、多くの流行を生み出したファッションの提案、医療用戸棚を白く塗り替えた飾棚などの白い家具、幻想的でミステリアスなゴスロリ作品、一世を風靡した日本で初めてのパンダキャラクター、いちご柄を中心にしたフルーツや野菜や動物などのモチーフは数多く商品化されました。さらに海外の映画、ファッション、メイクアップなどカルチャー情報をいち早く紹介するなど、ルネの活動範囲は数えきれません。雑誌『ジュニアそれいゆ』では、凝ったレタリングや巧斬新なレイアウトでデザインも担当するデザイナーでもありました。さらに少女雑誌のおしゃれ付録の制作も担当し、ルネの少女画がデザインされたレターセットや紙製の文房具などの付録は大人気となりました。中でも紙バッグは通信販売としても制作を手掛け、持ち手のない筒型の紙バッグは、小脇に抱えて歩くことがスタイタスとして大流行しました。現在の“ショッパー”人気当時のルネの付録としての紙バッグから始まっていたのかも知れません。まさにルネは、「カワイイ」を具現化しただけでなく、さまざまな分野で「カワイイ」を創造・発信したマルチ・クリエイターだと言えるでしょう。