ルネに魅せられた人たち
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内藤ルネがアーティストがとして最も活躍したのは1960年代です。
今から約50年も前のことです。
当時の少女たちに「カワイイ」を具現化して体現させ、
夢中にさせたルネの作品はその後もずっと愛され、
半世紀を経た今でも世界中の少女たちの心を魅了し続けています。
まさに、時代を超えて愛されているのです。

「カワイイ」は永遠に

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ルネが描いた明るく元気な女の子は、当時としてはそれまでの少女画とは異なり、全く新しくセンセーショナルなものでした。また彼のデザインしたフルーツや動物などの商品は「カワイイ」を少女たちの生活の中に夢と喜びを与えました。それら内藤ルネの作品が与える一種の感動は、デビュー60周年を迎える現在でも色褪せていません。2002年夏に開催された弥生美術館での回顧展では、開館以来の入場者数を記録し、その人気が健在であることを印象付けることとなりました。入場者の大半は予想を裏切り、30代までの若い女性が約7割占めるなど、ルネをリアルタイムで知らない世代が中心だったのです。2012年に東京渋谷パルコミュージアムでの『もうひとつの内藤ルネ展』の際も、渋谷の会場周辺に数多くのルネファンや「カワイイ」好きの若い女性が多く押し寄せました。ルネの創り出した「カワイイ」は、当時の少女だけでなく、現在の女性たちにも感動と夢を与え続けている証と言えるでしょう。また、ルネの創り出す作品は世界中で時代を超えて愛され、今再び少女たちを魅了し、高く評価されているのです。

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親子3代で共感できるルネの「カワイイ」

ルネの作品によって魅了された少女たちは、現在40?50代を中心とした世代となり、今では10?20代の子を持つ母親となっています。その子供たちは今まさに「カワイイ」に夢中になり、体現している真っ只中の年頃の少女たちです。更にアクティブシニアと言われる世代は、自分が母親として10代の娘を必死に育てていた当時に娘たちが夢中になり、同じ女性、母親としてルネの「カワイイ」を共感してきた人たちと言えます。同世代の黒柳徹子さんは「私は内藤ルネさんがお描きになったもので少女時代を過ごしたので、それが基礎となって、そのファッションは今でも続いています」と語っています。今から約半世紀前に少女たちを魅了したルネの「カワイイ」の夢と感動は、現在の3世代の女性たちに共感できる普遍的な感動なのです。

世界を舞台に広がるルネの「カワイイ」

1980年代にカワイイ文化、カワイイ市場はあっという間に日本を席巻し、その後「Kawaii」として、アジア、フランス、アメリカなど世界中に広がっています。この動きに経済産業省も「Cool Japanなど世界に受け入れられるポップ・カルチャーとして日本の魅力を源泉とした文化産業戦略の構築を目指すべき」と提言しています。かつて、日本の浮世絵の価値がフランスで再評価されたように、内藤ルネの「カワイイ」も世界中で高く評価されているのです。

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ルネ自身の想いから創り出される感動

雑誌『薔薇の小部屋』発刊に際して、ルネは「14、15歳の少女から70を越した少女まで、いつでも心にみずみずしさを残した女性のための、いつの間にかしーんと心に残っていくような雑誌をつくろう」と話しています。また、「夢と希望、そしてこの二つが連れてくる生きる喜び。いつもそんな気持ちで私は仕事をしてきたと思う。私の描く夢が少しでも、あなたの明日の生活の生きる喜びと潤いと支えになってくれることを深く願い、夢をいつまでも忘れないでとの心を込めて…」(『私の部屋』1992年)とメッセージを残しています。弥生美術館学芸員の中村圭子さんも、なぜ今の若者にルネが支持されているのか? に対して、「ルネの作品には、見る者の心を包み込むような暖かさとユーモラスな感覚があり、ホッとさせられる。それが今、若い世代を夢中にさせている原因のひとつではないだろうか。彼女たちは、ルネの作品の「笑わせてくれるところが好き」だと言う。その笑いとは、心を柔らかく解き放つ笑い、微笑みなのである」(内藤ルネ 少女たちのカリスマ・アーティスト)2002年)と著書の中で話しています。また、香山リカさんも「“カワイイ文化”の生みの親とも言えるルネは、謙虚で善良で平等でそして自由で、まさに「カワイイ」がそのまま人格化されたような人だった」と述べているように、内藤ルネだからこそ、多くの女性の心を捉えることができたのだと言えます。